包みの文化と美意識(その6)
[2006年09月19日]
学長 今津 勝宏
現代で最も「包みの文化」そのものを投影し、見直されている代表格は「風呂敷」ではないでしょうか。一昔に較べれば日常生活での利用度はまだまだの感があります。デパートやスーパーマーケット等で消費される包み紙や紙袋、ビニール袋の過剰包装は包装紙や袋の製造時は勿論のこと、そのほとんどがゴミとなり、燃焼時には大量の二酸化炭素CO2が排出され地球温暖化の一因であることは予想がつきます。
今年2月、ノーベル平和賞受賞者でケニア
環境副大臣のワンガリ・マータイさんが来日、
日本語の「もったいない:MOTTAINAI」を環境保護の合言葉として紹介し大変な反響を呼んだことは記憶に新しいかと思います。
これまでお話してきた日本の「包みの文化」は、この「もったいない」に代表されるような美意識に基づき如何に自然を愛し、無駄を出さないか、物を大事にするかが根源にあることを考える必要があるのではないかと思います。今風に言えば「日本の包みの文化」は「循環型社会」に絶妙に適合していることを痛感します。私たち人間は大量生産・大量消費の名のもとに余りにも合理性のみを追い続けました。また一方では、現代社会はコンピュータのすさまじい発展により、精密に制御され検査される製造システムで物づくりができ、科学実験もシミュレートでき、分析もサンプルを入れるだけでデータを得ることができます。そのことが今日の科学・技術の水準を大幅に向上させたのも事実であり、重要なことですが、21世紀においては「日本の包みの文化」を基調としながら、スローライフ、スローフーズとも相俟って最も人間味のある温もりのある包みに囲まれることが心の和み・癒しになるよう個々の意識を変える必要があるのではないでしょうか?
注:「もったいない」は消費削減(リデュース)、再使用(リユース)、資源利用(リサイクル)、修理(リペア)の4つの「R」を意味する。

包みの文化




