包みの文化と美意識(その5)
[2006年08月29日]
学長 今津 勝宏
「つと」に用いられる材料やその果たすべき機能・役割を顧ますと、誰が、何時の時代に、どのようにして、このようなことが創造できたのか不思議でなりません。「包み」としての本質的な要件を全て兼ね備えていることに驚嘆せざるをえません。
「つと」は実用性を第一に自然の素材と中身の形態を巧みに活かして創出されたものであり、その機能を十分に果たしていると思われます。その造形は人間の生活のなかの必要性から生まれた「用の美」であふれているのではないでしょうか。そこには無駄のない、シンプルな美しさのみが存在し、所謂、日本人の源流に脈々と流れている美意識が、そこには表現されているのではないでかと感じますが、皆さんはどのように感じられますか?
「つと」は長い年月にわたり受け継ぎ、洗練してきた先人達の知恵と心遣いと美意識が見事に合体した結晶ではないか思います。
日本の「包みの文化」は「つと」にみられるように農耕社会のつつましやかな生活と自然への信仰の中で長い年月をかけて育まれてきたのだと思います。このような素朴な手業の包みは、今日ではほとんど失われつつありますが、包みにこだわるその伝統は、現代にも無意識のうちに十分伝承されているように思われてなりません。





