包みの文化と美意識(その4)
[2006年08月23日]
学長 今津 勝宏
「卵のつと」は日本の「包みの文化」を代表することをお話しました。お米を収穫した後のわらで包み上げた卵は、産みたての新鮮さと温かなぬくもりがひしひしと伝わってくるのを感じるのは私だけでしょうか?この「つと」の材料にわらが選ばれた理由は、容易に入手できたばかりではなく、わらの持つ様々な材料特性と深く係わっていることが想像できると思います。
わらは中空構造で緩衝性に大変優れ、外部からの衝撃を吸収し、包まれたものを「守る」働きをしてくれます。「卵のつと」はまさにこの特性を巧みに活かして創くられたものなのです。また、わらは小さな空孔の集合体の構造をしております。その多孔質性のわらで編んだ「つと」は、適度の通気性と保温性を併せ持ち、包まれたものを「保存する」働きをしてくれます。現代版発砲スチロール製パッケージにやや似ているかもしれません。
同様の特性を活かしたものに米の俵や北陸地方にいまだに伝わる巻鰤(まきぶり)などにも垣間見ることができます。
さらに、ものの保護や保存の機能に加え、新しい価値、例えば納豆のように発酵や熟成に見られる「製造」のはたらきを生み出すものもあることがおわかり頂けるでしょう。
「つと」のわらは不思議で魅力的な要素を持ち合わせた優れた天然素材なのです。

藁納豆






